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『コルセット』新潮社(2006年9月発売)

今回は新潮社のマスコミ向けリリースの紹介。
その時々の作品により貌、姿、形も変える。でも、やはりこれは姫野カオルコの小説。

第一話のラストが第二話の冒頭、第二話のラストが第三話の冒頭でラストが第四話の冒頭、そしてラストはまた第一話の冒頭にもどるというロンド形式になった四編。
<セレブリティ>という人種の人生観をそれに似つかわしい言葉を選んで、丹念に描き込んだ新しいスタイルの傑作。
歯応えのある硬質な文体を、本作のために突き詰めた文学の可能性。

<優雅で官能的な階級小説>

男のラベルに惹かれる女は清らかなのだろう。淫蕩な女にとってラベルは無価値だ。わたしは淫蕩なのだろう。自分の舌がうまいと感じるか否か、自分のからだが気持ちいいとかんじるか否か。基準はそれしかない――。官能から始まった純愛、倒錯した被虐趣味、すれ違った片思い、南の島での三日間の邪淫。――閨房でいやらしいことをしたあと、彼はかならず、わたしの、そんなに長くしているわけではない髪を三つ編みにする。


【あとがき より】

『コルセット』は、これまで私が、書いたことのないタイプの小説である。書いているあいだは旅行をしているみたいだった。
――各話は「わたし」という一人称で語られるのだが、書いている自分にとり『コルセット』における「わたし」ほど、三人称を感じたケースはない。小説を書く側にすれば、たとえその小説が「わたし」にせよ、「おれ」「ぼく」「わし」にせよ、一人称で語られているからといって、作中の語り手が作者とイコールなわけでないことをよく知っている。読む側にしても、よほど幼い者でないかぎり知っていることである。――まったく自分とは異なる環境に暮らし、まったく自分とは異なる性質の人間……。こうした人間に対しては、若いころには、嫌悪感とはいわないまでも、なんらかなりの拒否感を抱いたものだが、おかげさまで命にかかわる大病にも見舞われず初老の年齢となると、そうした人間の……なんといえばいいだろう……ある種のいいわけ、のようなものを聞いてみたくなるのである。全面は無理でも、ある一面だけでも、彼女が事務的に処理し説明することができなかった部分を、彼女に彼女のペースで語ってもらいたいというか。あるいは、たとえばPink HouseやLaura Ashleyの服を、自分は買わないし着ないが、たまに店内を見て歩くのはおもしろいといったような、離れたたのしみ方もちゃんとできるようになったとでもいえばいいだろうか。――




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