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『ツ、イ、ラ、ク』角川文庫
(2007年2月発売)

ファン待望の文庫化です。
私は単行本で読んだものが文庫化されると、まず解説やあとがきを読むのですが今回は帯 の橋本治氏による推薦文が気になります。
「人が人に対してやさしくなるためには、原稿用紙で600枚くらいの疾走が必要なのかもしれない。」

最初に思ったのは、確か『ツ、イ、ラ、ク』は950枚ぐらいの作品だったから600枚ということは・・・だいたい・・・あの辺りだろうから・・・フムフム。って、おいおいこれじゃさっぱりわからないですね。個人的には物語が一段落して時間が途切れるあそこまでを言うのだろうなと思いました。確かに疾走というに相応しいスピード感(途中から加速有)がありますもの。この濃密な600枚の疾走があるからこそ、すれっからし(プロ)の本読みすら「えぇ、そうくるの?」という裏の裏を突くような王道の大団円に、ス〜っと肩の力が抜けるカタルシスを得られるのですね。あぁ、説明が舌足らずでもどかしい。

この文庫版『ツ、イ、ラ、ク』で姫野作品を初めて読む人が多いでしょうから、あえて内容の説明はしませんが、ご本人があとがきで述べているように本書は「恋愛小説というより、恋愛なるものの小説」です。そもそも冒頭のシーンからして古今の恋愛小説(と呼ばれているもの)と比較しても異質ですもの。はい、初めて読む人はここで「・・・???」な気分になります。新撰組とかでてくるし。でも、私、管理人が保証しますが安心して「・・・???」な気分のままで読み進めてください。気がつくとあなたは疾走する物語の只中にいるはずです。

この小説は「物語」ではなく「生の記憶」に近い形で私たちの脳にインプットされるのです。
と言う斎藤美奈子さんの解説もすばらしい。コアな姫野ファンを唸らせる名解説です。
一組の男女の恋愛を描くのに、姫野カオルコが取ったのは、町を学校をサロンを丸ごと捏造するという大掛かりな作戦でした。
(解説より)
そうなんです。作中にある長命市のリアリティは誰もが認めるところですが、わりと重要なモチーフとして出てくる歌の歌詞なども全て作家姫野カオルコの創作。『終業式』(角川文庫刊)などでは実在の流行歌を効果的に挿入することで時代のリアリティを構築していましたが、本作は意図的に時代を特定できないように実在の曲名は使われていません。細部まで作り込まれた長命市物語(主人公たち以外の登場人物にもたくさんの物語があるのでこう呼ぶ)のリアリティというか手触りの確かさを楽しめるのは、長編『ツ、イ、ラ、ク』を読了した人だけの特権ですね。5月にはこの長命市物語を少し違った視点から眺める作品『桃』も文庫化されます。


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