『変奏曲』角川文庫 1995年発売
(88年発売の「チゴイネルワイゼン」を改題)
この作品はたぶん書かれた時点で何らかの形でビジュアル化される、あるいはビジュアル化して欲しいという意図があったように思われます。耽美な様式美は読み手の想像力を刺激し、何やらゴチック&エロティックホラーの香りもただよいますね。さらに行間にはヴァイオリンの音が朗々と響き、時に読者の三半規管を刺激する(もちろん読者自身の想像の中で)ような強烈なパッションを醸し出します。世に"絵"的な小説はたくさんありますが、さらに"音"も感じさせる小説は珍しいのではないでしょうか。
「2006年現在までに角川書店の「ラブハニー100」の夏号で山田可南さんの手により漫画化されたものがあります。なかなかの大作でした。しかし、今回ご紹介するのはもう一つの漫画・・・というか実際は『変奏曲』のパロディ漫画です。このサイトの姫野関連リンク集にも載っている、通称「つるさん」の漫画。つるさんは版画家で、筋金入りの姫野ファン。文春文庫「ちがうもん」の表紙で、グッと何事かを訴えるような子供の版画がつるさんの作品。版画家ではありますが、御自分のサイトではいわゆる脱力系の漫画やカットなども発表しています。
パロディ漫画「洋子と高志」を見る。
さらにファンサイト「ヒメノ式で行こう!」内のコンテンツ『ヒメノ式ベスト』の中から、
オリジナル曲「洋子と高志」を聞く。
うまく聞こえない場合(ブラウザがネットスケープなど)はこちらから。
こうして紹介しておいて書くのも何ですが、どちらも作品を読んでからの方が楽しめます。ところで、姫野作品は良い素材なのに映像方面の方々はなぜ使わないのかと常々疑問に思っていました。現在管理人が聞いている範囲では映画化の予定になっているのが『受難』と『ツ、イ、ラ、ク』ですが、映画というのはなかなか時間とお金がかかるものですから、一朝一夕にできるものではないようです。ファンサイトなどで時々話題になるのですが・・・もし、この『変奏曲』が映画化されたら・・・洋子と高志のキャスティングを考えるのが面白いですね。
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